北陸新幹線の車両「W7系」の歓迎式典が開かれた10月1日、会場となった福井県内4駅では歓声が沸き起こり、笑顔が広がった。半世紀にわたる悲願の開業まであと半年。新幹線が走る日常が一気に現実味を帯び、集まった県民は期待に心を弾ませた。
【芦原温泉駅】うちわ振りで出迎え 地元高校生の演奏も
県内の“北の玄関口”であるJR芦原温泉駅(あわら市)では、あわら、坂井両市から500人余りが、新幹線とあわら市のおもてなしキャラクター「湯巡権三(ゆめぐりごんぞう)」のイラストが入ったうちわを振りながら出迎えた。金津高吹奏楽部の約40人によるファンファーレも響きわたり、構内は歓迎ムードに包まれた。
W7系は午後0時40分ごろにやって来た。式典では、あわら温泉旅館の女将(おかみ)らでつくる「女将の会」会長が、運転士に花束を贈呈。あわら市の森之嗣市長や両市の小学生ら12人がくす玉を割って祝った。
新幹線が再び走り出すと、同校吹奏楽部が演奏する「銀河鉄道999」で見送った。
【福井駅】恐竜のお面で歓迎 「新幹線の迫力に圧倒」
福井駅には、会場で配られたティラノサウルスのお面をかぶった子どもたちやカメラを手にした鉄道ファンら約500人が集まった。午後1時50分ごろ、W7系が姿を見せると福井市のイメージロゴ「福いいネ!」が書かれたうちわを振って出迎えた。
JR西日本の佐々木瑞恵運転士に、旭小5年と順化小5年の児童が花束を贈呈。児童は「間近で見た新幹線は大迫力で圧倒された」と感激した様子だった。
車両が停車している間、参加者はW7系との記念撮影を楽しんだ。東村新一市長の「福井の輝く未来に向かって出発進行!」との合図に合わせて車両は再び動き出し、越前たけふ駅へ向かった。
【越前たけふ駅】式部うちわで大歓迎 ゆるキャラも集合
W7系の車両が滑り込むように越前たけふ駅に入ると、待ちわびた約500人が越前市ゆかりの紫式部にちなんだロゴマーク「しきぶきぶん」入りのうちわなどを振って大歓迎した。
入線を前に武生高吹奏楽部が躍動感のある演奏で喜びを表現。山田賢一市長はあいさつで「熱いものがこみ上げてくる。長年の苦労に報いるためにも新幹線効果を最大限にしなければならない」と感慨を込めた。
北陸の伝統文化などをデザインに取り入れているW7系は、伝統工芸が盛んな丹南にマッチ。運転士と越前たけふ駅長に、地元の北日野小児童が花束を手渡した。丹南市町のゆるキャラも集まる中、開業を心待ちにしながらW7系の出発を見送った。
【敦賀駅】嶺南500人が盛大出迎え、くす玉割り到着祝う
終着駅の敦賀駅には午後4時過ぎにW7系が到着した。嶺南6市町の親子連れら500人が、「ツヌガ君」(敦賀市)や「赤ふん坊や」(高浜町)など、嶺南のゆるキャラたちとともに手旗を振って出迎えた。
歓迎セレモニーで米澤光治敦賀市長は、半世紀にわたる地元の悲願を振り返り「新幹線の雄姿に、万感胸に迫る思い」と熱弁。この日5歳の誕生日を迎えた市内の園児が運転士に花束を贈呈した。
米澤市長ら嶺南6市町長や高木毅衆院議員、杉本達治知事らがくす玉を割って到着を祝うと、盛り上がりは最高潮に。出発までの間、参加者は記念撮影したり、車体をのぞき込んだりして新幹線時代の到来に浸った。
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