福井県敦賀市金ケ崎町の敦賀赤レンガ倉庫のジオラマ館入館者が5月、50万人を突破した。2015年10月、観光集客施設にリニューアルして7年7カ月で達成。恒例となった毎年の特別展がジオラマや鉄道好きな男性ファンだけでなく、女性や家族連れも呼び込んでいる。
■当初は男性7割
赤レンガ倉庫は2棟あり、北のジオラマ館と南のレストラン館で構成する。集客の目玉は明治後期~昭和初期の異国情緒あふれる「敦賀の鉄道と港の街並み」を再現した全長約27メートル、奥行き最大約7・5メートルの巨大ジオラマ「ノスタルジオラマ」だ。
市は入館目標を年間8万人に設定。リニューアル初年度の15年度は10~3月の5カ月余りで7万5938人を集め、16年度も8万8759人と目標を上回るペースで推移していた。
ところがオープン景気が去った17~19年度はいずれも6万人台にとどまった。指定管理者の丹青社(本社東京)の分析では男性客が7割を占めていた。「ジオラマ」「鉄道模型」のイメージからと推測された。
■特別展に固定客も
女性客の確保が急務だったことから年1回、特別展を企画。「シルバニアファミリー」(19年)、「リカちゃん」(20~21年)、「チェブラーシカ」(21年)、「きかんしゃトーマス」(22年)と、ジオラマ館の「昔懐かしい敦賀」に合わせ、流行は追わず普遍的な人気のあるキャラクターで開催してきた。
県内で初めてのキャラを選んだり、展示物を撮影可能にしたりして「相乗効果で女性客や家族連れの来場者が増加した」と早田勇二施設長。「特別展は毎年恒例となっていて楽しみにしている人もいる。固定客化している」と手応えを話す。
■満足される施設に
コロナ禍で20年度は3万4千人、21年度は4万3千人まで落ち込んだ。それでも“特別展効果”もあり22年度は5万9千人まで回復。来春には北陸新幹線敦賀開業を控える。
市は、赤レンガ倉庫がある金ケ崎エリアをJR敦賀駅前、気比神宮エリアとともに、新幹線開業後の誘客のカギを握るエリアと位置付ける。新幹線開業からは1~2年ほど遅れる見込みだが、宿泊機能付きレストラン「オーベルジュ」の整備計画もある。
「オーベルジュ」は、スイーツショップやベーカリー、カフェ、産直市場、温浴施設などを林立させた複合施設とする方向で検討されており、早田施設長は「赤レンガ倉庫がメーン観光施設として満足してもらえるよう環境を整えていきたい」と話す。その上で「百万人をできるだけ早く達成したい。多彩な事業を展開していく」と力を込める。
敦賀赤レンガ倉庫とは
敦賀赤レンガ倉庫 国登録有形文化財。1905年に米国の石油会社が貯蔵庫として建設した。延べ床面積は北、南棟とも約540平方メートル。2003年、市に寄贈され、総事業費11億円かけ観光集客施設にリニューアル。15年の「鉄道の日」の10月14日にオープンした。ジオラマ館入館料は中学生以上400円、小学生以下200円(3歳未満無料)。
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