輪になって盆踊り「まつさか」を踊る参加者=5月27日、小浜市松永ふるさと交流館

 福井県小浜市や若狭町の農村部などで親しまれてきた盆踊り「まつさか」を後世に残そうと、同市の有志が保存会を立ち上げた。毎月練習会を開き、各地の祭りなどで披露し、若い世代に普及を図るほか、歴史的なルーツも調査していく。保存会は「昔のように地域一体となって踊る機会を取り戻したい」と話している。

 踊りは「松坂音頭」とも呼ばれ、「大阪天満のまん中で-」の歌い出しが特徴。保存会の武内会長らによると、かつては小浜市松永、国富地区や若狭町上中地区などの地域で定番の一曲だったという。太鼓と生歌で踊られ、武内会長は「たたき手と音頭取り、そして踊り手のかけ声が合わさるうちに盛り上がり、一体感があった」と懐かしむ。

 しかし、カセットテープやCDが普及し祭りで流行歌を流すことが増えると、口頭で伝承されたまつさかは下火になった。50代以下では知る人も少なくなり、新型コロナウイルス禍で盆踊り自体の機会も減ったことから、危機感を募らせた武内さんや事務局の須田さんらが中心となり今年3月、保存会を立ち上げた。

 会員は現在30人ほど。まつさかを知らない人もおり、毎月第4土曜日に松永ふるさと交流館で例会を開き練習している。そろいの法被を作り、今夏に市内の祭りで披露することを目指している。

 民俗学に関する県内識者の協力を得て、ルーツについても探っていく。会員の家族の話から少なくとも100年以上前には踊られており、伊勢由来と推察する人もいるが、いつどこから伝わったかはっきりとは分かっていない。須田さんは「まつさかを知らない若い世代の人も、踊りや歴史に少しでも興味があれば仲間になってほしい」と呼びかけている。

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