武藤友益が主人公の漫画を掲載した機関誌を手にPRする辻会長(中央)ら=24日、おおい町役場

 福井県おおい町佐分利地区の住民らでつくる「佐分利の歴史・文化を学ぶ会」が、戦国時代、地元に築城された石山城の城主・武藤友益(むとうともます)を主人公にした漫画を制作した。友益にまつわる史料や伝承をひもとき、勇猛果敢な武将像をイメージ。発掘調査が進む石山城も描写している。

 武藤友益は若狭守護武田氏の重臣で、石山城を拠点に佐分利17カ村を治めた。織田信長の若狭侵攻により、丹羽長秀や明智光秀に攻められ降伏した。その後も信長に抵抗を続けたとされるが、詳細は分かっていない。

 町教委による石山城発掘調査が本年度に終了することもあり、友益や石山城のことを親しみやすい漫画にしようと、同会が県外の漫画家、大久保ヤマトさんに作画を依頼し監修した。機関誌「佐分利谷(だん)」の特別号に掲載した。

 「石山城主 武藤友益物語」と題した20ページの漫画は、友益を甲冑(かっちゅう)姿の勇猛果敢な性格と描いている。近年の発掘調査結果に基づき、防衛機能を持つ曲輪(くるわ)や城主の居館など当時の石山城を絵で再現した。

 家督争いや家臣の分裂抗争などにより弱体化した若狭武田氏を背景に、友益が同じ重臣である高浜城主・逸見氏の反乱などに備え石山城を改修したことや、信長に攻められ石山城を破却された後も信長にあらがい続けたことを描写している。難しい言葉や名前には読み仮名を付け、子どもでも読みやすいように工夫した。

 24日、同町役場で同会メンバーが中塚寛町長に機関誌を贈呈した。会長は「佐分利で活躍した武藤氏や石山城に興味を持ち深掘りしてほしい」と話している。

 機関誌はB5判36ページ。約600部発刊し、町内小中学校や公民館などに寄贈した。問い合わせは佐分利公民館=電話0770(78)1211。

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