旅行を楽しむ中で心身の健康増進を図る「ウェルネスツーリズム」導入に向けた動きが、福井県若狭町内で広がっている。昔ながらの町並みが残る熊川宿(同町熊川)では、地域活性化に取り組む地元企業「デキタ」と福井大が連携し、食や自然を生かした観光コンテンツ造成を目指す。町は新年度から交流サイト(SNS)での発信などで後押ししていく考えだ。
ウェルネスツーリズムはめい想や健康的な食事、適度な運動などを通して心身ともにリフレッシュする旅を意味する。近年の健康志向のさらなる高まりで注目され、全国各地で取り組みが広がっている。健康長寿国日本のブランドを活用し、インバウンド(訪日客)誘客も期待される。
こうした状況を受け、デキタは観光コンテンツの一つとして商品化しようと昨年から模索。町内の大自然や熊川宿のような歴史遺産など、地域資源を健康と観光の双方に生かす素地が整っていることに注目した。町と連携し「わかさ健活プロジェクト」に取り組んでいる福井大から協力を得た。
同大などツーリズムに関心のある県内関係者約10人が参加したテストツアーも行われた。到着後すぐに、筋肉量や血圧などを測定し現在の健康状態を確認。ストレスチェックも行った後、かまどでご飯を炊いて味わったり、翌日に禅を取り入れためい想体験をしたりした。再びストレスチェックをし、心身の変化を実感した。
今夏にはキャンプ場のオープンが控えている。大人数の受け入れも可能なことから、社員研修などもターゲットにする予定という。
ウェルネスツーリズム同様に、旅行中の健康回復や増進を図る「ヘルスツーリズム」を展開するのは石田祐美子さん。昨年大阪府から移住して古民家宿をオープンし、「湖も川も海も山もある。空気もきれいで大地の恵みをもらえる素晴らしい場所。うってつけの場所だった」と話す。
町は第2次若狭町総合計画(2018~32年度)の中期基本計画案(23~27年度)でウェルネスツーリズムを推進すると明記。今後は「サイクルツーリズム」などと合わせてPRしていく予定だ。渡辺英朗町長は、3月定例町会で「豊かな自然と自慢できる食に、健康を組み合わせながら滞在してもらう取り組みを推進する」と述べた。
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