杉田玄白記念公立小浜病院が本年度から、臓器移植法に基づく脳死臓器提供施設の体制を整えた。法的な脳死判定を行い、各地の移植施設(病院)から訪れる摘出チームに臓器摘出の場を提供する。嶺南初で、県内では5施設目。子どもからの提供は虐待がないと確認する体制が必要なことから当面見送り、18歳以上に対応する。
提供施設は救命救急センターに認定されていたり、脳神経外科学会の専門医訓練施設であったりと、高度な救急医療を行えることが要件。公立小浜病院は該当することから、約3年かけ、家族から提供の意思が示された際の対応など、手順のマニュアル整備を進めてきた。
法的脳死判定は家族の承諾を得て、専門医の資格を持つ脳神経外科医や救急医が2人以上で、脳波が平たんかどうかなどを確認する。脳死と判定された後は、日本臓器移植ネットワーク(東京)が心臓や肺、肝臓、腎臓など臓器ごとに移植患者を選定する。
県内の提供施設はこれまで、永平寺町の福井大医学部附属病院と、福井市の県立、福井赤十字、県済生会の3病院だった。臓器移植法は2010年に本人の意思が不明でも、家族の承諾で脳死臓器提供できるよう改正され、県内でも11~16年に6例の提供があったが、直近約7年間は途絶えている。
嶺南で初めての提供施設となったことについて、公立小浜病院の鈴木裕志副院長は「臓器を役立ててほしいという家族の希望をかなえたい」としている。
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