順調に成長し水揚げされたふくいサーモン=10日、小浜市宇久の宇久漁港

 海面養殖による福井県産トラウトサーモン「ふくいサーモン」の水揚げ、出荷が嶺南各地で始まっている。水揚げ初日を迎えた小浜市の宇久漁港では4月10日、3キロ近くまで丸々と成長したサーモンがいけすから次々と水揚げされた。今季の出荷量は嶺南全体で過去最高の136トンを見込んでいる。

 嶺南での海面養殖は10季目。小浜市、敦賀市、美浜町、おおい町で行われており、県内外の育成施設で育った稚魚を昨年12月、各養殖施設に移し育ててきた。

 敦賀市が3月上旬、美浜町は4月初旬に水揚げを開始、既に嶺南の鮮魚店を中心に店頭に並んでいる。おおい町大島では5月から水揚げが本格化する。

 小浜市では地元漁師らでつくる「市トラウトサーモン養殖振興協業体」が同漁港から約1キロ沖合の養殖いけすで約4千匹を飼育している。今季は降雪の影響で海水温が低下し、餌の食いつきはあまり良くなかったが、順調に成長。例年並みの出荷時期となった。

 この日は海上のいけすから378匹を船に移し帰港。水揚げしたサーモンは体長40~50センチ、平均2キロほどで、中には2・7キロの個体もあった。作業員らは作業台のサーモンを慣れた手つきで生け締めしていった。

 同協業体の会長は「成長具合が心配だったがまあまあのサイズで、ほっとしている。臭みがなく脂は乗っているので、刺し身など生食でぜひ食べてもらいたい」と話した。

 県内ではトラウトサーモンは海面養殖のほか大野、勝山市で淡水養殖が行われている。県によると、昨年は海面、淡水合わせ過去最高の282トンを出荷した。今年は海面136トン、淡水217トンの出荷を見込み、ともに過去最高となる見通し。今後も増産に向け稚魚の養殖施設の充実化などを図るという。

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