植物学者、牧野富太郎(1862~1957年)を取材、子ども向け伝記にまとめた福井県小浜市出身の詩人で児童文学者、山本和夫さん(1907~96年)に焦点を当てた企画展が14日、同市の県立若狭図書学習センターで始まった。牧野を取材した際の白黒写真や日記、完成した伝記など約30点を展示。解説パネルを交え分かりやすく紹介している。8月23日まで。
山本さんは中国やビルマ戦線に従軍。戦争の犠牲になった子どもたちへの思いから児童文学作品などを多く手掛けた。
企画展「詩人・山本和夫が愛した花々~牧野富太郎を子どもたちに紹介した児童文学者」は、牧野がモデルのNHK連続テレビ小説「らんまん」に合わせ企画した。
1953年に出版された牧野の伝記は、東京都内の牧野の自宅で同年取材したものをまとめたもの。展示では、伝記に記された牧野の人柄や取材時の印象などをパネルを交え解説した。
伝記には、牧野が天国の両親への“手紙”として墓前に花を供え続けたエピソードや、植物愛が垣間見える名言などが記されていることを解説。牧野の人柄について、当時の雑誌に「写真を見ると頑固一徹な親爺(おやじ)という感じがする。けれどお会いして感ずるのは、その反対で女性的だ」と語ったことも紹介している。
2カ月にわたった取材の様子が分かる白黒写真や日記も並び、牧野との親交が分かる内容となっている。
また牧野と同様、自身も美しい花々を愛し、表紙に花の絵柄がある山本さんの詩集「花咲く日」や花の水彩画の写真パネルなどもある。
午前9時~午後7時(土日祝日・月曜は同6時まで)。18日休館。期間中は、図書フロアで両氏の作品をまとめた特集コーナーを設けている。問い合わせは同センター=電話0770(52)2705。
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