• 雲城水を使い、毎日出来たてが店頭に並ぶ「伊勢屋」のくずまんじゅう
  • 優秀和菓子職に加え、伝統和菓子職の認定も受けた上田さん=6日、小浜市役所
雲城水を使い、毎日出来たてが店頭に並ぶ「伊勢屋」のくずまんじゅう

 全国和菓子協会が認定する伝統的製法を守り優れた技術を持つ「選・和菓子職」の伝統和菓子職に、福井県小浜市の夏の名菓くずまんじゅうを販売する老舗「伊勢屋」6代目の上田浩人さんが認定された。上田さんは、創作的な和菓子を仕上げる技術を持つ優秀和菓子職にも2016年に認定されており、両部門での認定は県内初、全国でも2人目の快挙。

 選・和菓子職は全2部門。職人の地位向上や技術伝承を目指し創設され、伝統和菓子職は2012年に始まった。同協会員などからの推薦が必要で、書類のほか審査員が商品を実食し選考する。今年は上田さんを含む全国の12人が認定され、累計71人となった。

 17年には、上田さんの父で先代の藤夫さんが県内初の認定を受けており、同協会事務局によると親子での認定は全国初。担当者は「くずまんじゅうは地元で長年支持され、(6代目の)上田さんもその伝統を守り愛され続ける努力をされている」と評価点を話した。

 6月27日に東京で認定式があり、7月6日、小浜市役所で松崎晃治市長に報告した。

 上田さんは千葉県の和菓子店で5年間修行し、25歳で帰郷。伊勢屋で13年間和菓子を作り続けている。今回の認定は「良かったという気持ちと、(2部門は)全国でも少なくプレッシャーも感じる」と身を引き締めた。

 150年以上にわたり親しまれる看板商品のくずまんじゅうは、地元の名水「雲城水」とくずで生地を練り、こしあんを入れて冷やし固めたシンプルな逸品。「水がいいから雑味がない」一方、生地に砂糖を加えない製法は保存がきかず、毎日開店から閉店まで随時作り続けるしかない。それでも「水とくずとこしあんだけの、この味じゃないと意味がない」と力を込める。

 近年は県外の実演販売イベントにも積極的に参加する。「和菓子を通してどう地元に貢献できるか。小浜に来てもらうきっかけになるようPRしていければ」と抱負を語った。

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