福井県おおい町出身の直木賞作家、水上勉さん(1919~2004年)にまつわる演劇の世界を紹介する企画展「水上勉の『演じる言葉』」が11月6日まで、同町岡田の若州一滴文庫で開かれている。水上さんが立ち上げた人形劇団で使われた竹人形や写真のタペストリーなど約80点を展示。水上さんが演劇に込めた思いが垣間見える内容となっている。
幼少期から芝居好きだった水上さんは、直木賞受賞後、文壇で活躍する柴田錬三郎さんや石原慎太郎さんらと文士劇に興じることがあったという。
会場には、水上さんが立ち上げた人形劇団「越前竹人形の会」で使われた初期の竹人形が展示されている。全国各所で200回以上の公演をこなした竹人形は、高さ80センチほどと小さい。人形劇団の解散から数年後に設立した人形座ではひと回り大きな竹人形が使われており「舞台上で動く人形を細部までしっかりと見てほしい」という水上さんの思いが感じられる。
人形劇を指導する水上さんを撮影した写真のタペストリー、全国の劇団で公演された水上さんの小説が原作の舞台台本や来場者向けのパンフレットなど、どれも貴重なものばかり。「五番町夕霧楼(ごばんちょうゆうぎりろう)」「はなれ瞽女(ごぜ)おりん」といった人形劇の動画も一部上映している。
担当者は「水上勉がどういった思いで演劇を作り上げてきたのかを感じてもらえたら」と話している。
午前9時~午後5時。入館料は一般300円、高校生以下無料。火曜休館。問い合わせは同文庫=電話0770(77)2445。
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