福井県内最大の養殖トラフグ産地、敦賀市西浦地区で「敦賀ふぐ」の抜歯作業が行われている。フグは歯が鋭いことから、尾をかんで傷つけ合ったり、いけすの網を破ったりすることを防ぐのが目的で、同市手のいけすで地元漁師が手際よく作業している。
全国的には、抜歯が技術的に難しいなどの理由で、出荷までに3回ほど歯を切断するのが主流。同地区では35年前から抜歯しており、抜くと二度と生えてこない。抜歯技術を学ぼうと、県外からの視察も多いという。
20日は漁師6人がいけすの横に浮かべた漁船で、今春入荷し体長10センチほどに育った稚魚を麻酔で眠らせ、ニッパーで上の歯2枚を素早く抜いていった。19日に始まり、来月中旬までに約12万匹の抜歯をする。
敦賀ふぐは10度以下の低水温でゆっくりと育ち、身が引き締まるのが特徴。同地区ではいけすの上に遮光ネットも設置しており、日焼けによる黒いすじが入らないという。
今回抜歯したフグは、体長40センチほどまで成長させ、来年11月ごろから出荷される。漁師の男性は「もっと多くの人に敦賀ふぐを知ってもらえるよう、県外でのPRに取り組んでいる。新幹線敦賀開業後に、観光客らに大きな鍋を使ったフグ鍋料理を食べてもらうことも企画している」と話した。
(※福井新聞社提供。無断転載を禁止します。記事に関するお問い合わせは福井新聞社へ。)