江戸時代の〝事件〟に関する古文書が並ぶ「西福寺文書紹介展」=敦賀市立博物館

 福井県敦賀市原の古刹(こさつ)、西福寺が所蔵する県有形文化財「西福寺文書(もんじょ)」を紹介する特集展示「西福寺の事件簿」が、同市立博物館で開かれている。江戸時代に労働による納税「夫役(ぶやく)」を突如要求された“事件”を、いかにして退けたのかをひもといている。

 「西福寺文書」は鎌倉時代末期から昭和20年代までの文書・記録991点と、江戸時代を中心とした版本278点からなる計1269点。2005年に県有形文化財に指定された。“事件”に関連する資料約50点を前期、後期に分けて展示する。

 “事件”は江戸時代の1808(文化5)年にあった。当時一帯を支配していた鞠山藩から夫役を要求される。西福寺は寺に伝わる天皇や大名に守られてきた歴史を示す古文書の写しを藩に提出し、免除されてきたとして要求を退けたという。

 藩に提出した文書のうち、1390(明徳元)年の「崇光上皇院宣」は「西福寺を祈願所とし、浄土宗を盛んにするように」とした上皇の宣旨(命令)。“事件”当時としても400年以上前の貴重なもので、上皇に認められた寺としての権威を示している。1580(天正8)年の「武藤康秀判物」は織田信長の家臣で敦賀を支配した武藤康秀が「以前から寺に保管されている書類の通り、夫役を免除する」と書かれており、免除されてきた歴史を訴える。

 1811(文化8)年の「本堂再建之略記等覚書帳」には1798年~1811年にかけて行われた御影堂再建の記録がまとめられており、08年の鞠山藩からの夫役要求を退けた経緯も書かれている。

 学芸員は「藩の要求をはねのけた西福寺文書の“力”を味わってほしい」と話している。前期は18日までで、20日から7月20日まで後期。入館料は一般300円、高校生以下無料。毎週月曜休館。7月17日は開館し、翌18日休館。

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