昨年1月に福井県若狭町の三方湖で捕獲された中国原産の淡水魚ソウギョが、50年以上生きた個体だったことが3月14日までに分かった。同町の県海浜自然センターによると、本来の寿命は15~30年とされており、半世紀以上生きたことが明らかになったのは全国初という。
ソウギョはコイ科で中国では養殖が盛んな食用魚。水草を大量に食べることから、ヒシが繁殖した1968年ごろに地元漁協が三方湖に放流した。近年はめったに捕獲されないが、数年に1度、体長1メートル以上の個体が主に三方、菅、水月湖で捕れるという。
今回の個体は体長1・2メートルで地元漁師が生きたまま捕獲。同センターが引き取り展示していたが、昨年12月に死んだため、今年1月に三重県の専門機関に年齢査定を依頼した。1年ごとに層が刻まれる「耳石」を頭部から取り出し数えたところ、少なくとも50年以上生きたと推定された。
エサとなる水草はコイやフナの産卵場所にもなる。ソウギョが繁殖していれば水草が減り、在来の湖魚が減少するといった悪影響が懸念されていた。しかし、これまでにソウギョの幼魚は見つかっておらず、同センター主事の西村碩教(ひろゆき)さんは「ほかの大型の個体も繁殖したものではないだろう。(在来の湖魚の)生態系にダメージはないとみられる。エサが豊富で天敵が少ない三方五湖だから半世紀以上残ったのかもしれない」と話している。
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