第2次大戦中にユダヤ難民を救出した「命のビザ」の発給に寄与した証明書、通称「キュラソー・ビザ」を特集する企画展が3月16日、福井県敦賀市の資料館「人道の港敦賀ムゼウム」で始まった。キュラソー・ビザが生み出された背景や、発行したリトアニア駐在のオランダ人外交官ヤン・ズワルテンダイクなどについて詳しく紹介している。5月30日まで。
外交官杉原千畝が発給した「命のビザ」は日本通過ビザであったため、最終目的地のビザの取得が必要だった。命からがら国外への脱出を図るユダヤ難民には取得が困難だった中、ズワルテンダイクは、オランダ領キュラソー島に上陸するにはビザは不要という内容を記した「キュラソー・ビザ」を発行。形式上の行き先を与え、多くのユダヤ難民を救った。
企画展は在日オランダ大使館とムゼウムが主催。パネル16枚で、ズワルテンダイクは2週間で少なくとも2345枚のキュラソー・ビザを発行したことや、リトアニア全土を回って難民に二つのビザを取得するよう説得したポーランド人弁護士などについて紹介している。ズワルテンダイクが愛用していた眼鏡やパイプなど関連史料7点も並ぶ。
この日はオープニングセレモニーが行われ、渕上隆信市長や同大使館のテオ・ペータス全権公使、杉原に関する著書があるフリーランスライターの北出明さんらが出席。渕上市長は「常設展と併せて見てもらうと、より歴史の深さが分かるのではないか」とあいさつ。ペータス全権公使は「杉原さん以外にも勇気ある行動をした人がいることを展示で感じてほしい」と話していた。
(※福井新聞社提供。無断転載を禁止します。記事に関するお問い合わせは福井新聞社へ。)