展示を見て回るウェイランドさん(中央)=23日、敦賀市の資料館「人道の港敦賀ムゼウム」

 第2次大戦中の1941年、外交官杉原千畝が発給した「命のビザ」を携えて敦賀に上陸した「杉原サバイバー」のマーセル・ウェイランドさん(95)=オーストラリア在住=が2月23日、福井県敦賀市の資料館「人道の港敦賀ムゼウム」を視察した。82年ぶりの敦賀再訪に「非常に感動的な体験だ」と話した。

 ウェイランドさんはポーランド生まれ。13歳の時にナチス・ドイツの迫害から逃れ、家族と一緒に敦賀に上陸した。神戸で7カ月過ごした後に中国・上海に渡り、46年にオーストラリアに移った。

 ウェイランドさんは西川明徳館長と一緒に館内を見学。人道の港としての歴史を伝えるパネルや映像、史料を見て回り「多くの人を助けたという歴史を敦賀の人は誇りに思ってほしい。ムゼウムは世界に一つだけの貴重なミュージアム」とたたえた。自身が出演するドキュメンタリー映画の上映会にも参加した。

 渕上隆信市長とも懇談し「当時敦賀に降り立ったときは桜がすごくきれいで、とても良い天気だったことを今でも覚えている」と伝えた。渕上市長は「長い年月がたち、また敦賀に来てムゼウムを見ていただけることは非常に喜ばしいこと」と歓迎した。

 ウェイランドさんは、在日オランダ大使館で開かれている企画展「キュラソー・ビザ ズワルテンダイク・オランダ領事と『命のビザ』の知られざる原点」に合わせ来日。この日は三女のミカエラ・シモニさんと同大使館のテオ・ペータス全権公使も訪れた。同企画展は3月16日からムゼウムでも開かれる。

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