水月湖(福井県若狭町)の湖底堆積物「年縞(ねんこう)」をモチーフとした2人用のボードゲーム「年縞マンカラ(シマシマンカラ)」が誕生した。ゲームを進めていくと色彩豊かな円形のパーツが積み重なり、年縞が出来上がる仕組み。海洋プラスチックごみで作られており環境にも優しい。同町の県年縞博物館内「カフェ縞(しま)」で遊ぶことができる。
開発したのは、海洋プラスチックごみの活用に取り組むものづくり拠点「トンカンテラス」(福井市)。代表の黒田さんが昨年秋に同館をプライベートで訪れたとき「世界標準の『年代のものさし』だと初めて知った。年縞はすごい。感動した」という。この高揚感を形にしようとわずか5日で完成させた。
マンカラはアフリカを起源とした世界最古のゲームの一つといわれ、世界中で親しまれている。年縞マンカラは八つのくぼみと両端に棒があるボード、32枚の輪っかを使用。くぼみに4枚ずつ配置した輪っかを時計回りに移動させ、相手より早く自分の陣地のくぼみから移動させた方が勝ち。ゲームの過程で両端の棒に輪っかがたまり、年縞が出来上がる仕組みだ。
青や赤、黄など色鮮やかな輪っかは、若狭湾に漂着したペットボトルキャップやブイ(浮標)などを再利用したもの。粉砕して溶かし板状に整えた後、レーザーカッターで切り取ったという。昨年12月に同館の学芸員に贈られ、今年1月10日にカフェ縞に置かれた。
シンプルなルールで幅広い年代が楽しめる一方、先を読んだり相手と駆け引きしたりと戦略が必要で奥が深い。水月湖年縞に触れながら、環境問題に関心を深めるきっかけにもなり、同カフェによると「面白い」「大会をやってほしい」と客の反応も良いという。
同館によると、評判が続けば商品化も検討する。黒田さんは「年縞や海ごみ問題に関心を持ってもらいたい。ゲームを楽しみながら語り合ってもらえたら本望」と話していた。
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