桃の節句を前に、福井県敦賀市の博物館通りの老舗や、若狭町の熊川宿にある民家や飲食店などにひな人形が飾られている。高浜町では今月中旬から民家や公共施設などにひな人形を並べる「まつり」が開幕。雪の残る嶺南に、一歩ずつ春の足音が聞こえてきた。
敦賀市相生町の博物館通り沿いの老舗電器店「増田清商会」では約300体ものひな人形が飾られている。晴れた日にはショーウインドー越しに散歩の子どもたちがのぞき込むなど、和やかな光景が広がっている。3月上旬まで。
同店は1924(大正13)年創業。増田恵美子さんが15年ほど前から展示を始め、知人から譲り受けたり、手作りしたり、訪問先で購入したひな人形を追加したりして店を埋めるほどの数になった。
7段飾りは6セット分あり、表情の違いが楽しめる。恵美子さんが手作りした陶芸の人形や、ハマグリやアサリの貝殻に着物の古布をまいたひな人形、石に描いたおひなさま、つるし飾りも店内狭しと飾られている。今年から、恵美子さんが干支(えと)にちなんで制作したウサギのひな人形や、太陽光で動くおもちゃのひな人形も“仲間”に加わった。
恵美子さんは「コロナもあったが博物館通りがにぎやかでぱっと明るくなってほしい。まちの活性化につながれば」と話している。
宿場町華やぐ 若狭町・熊川宿
若狭町熊川の熊川宿では7段飾りのひな人形を中心に展示する「熊川宿のひなまつり」が開かれている。民家や飲食店など23軒に28組が飾られ、風情あるかつての宿場町に彩りを添えている。3月19日まで。
2019年に鯖江市の住民から寄贈を受けたことを契機に毎年開催。宿内の住民らが長年保管してきたひな人形を含め、街道から見えるように展示している。
軒先に掲げられた桜の枝やのぼり旗が目印。高さ2メートル、横1・5メートルの豪華な7段飾りのほか、住民が端切れなどで手作りしたかわいらしいひな人形も並ぶ。
主催する若狭熊川宿まちづくり特別委員会の会長は「若い子が飾り付けを手伝うなど、伝統に触れるきっかけにもなっている。ぜひ見に来て」と話した。
72ヵ所500体、イベントも 高浜 18日から「ひなまつり」
高浜町では18日から「第19回若狭たかはまひなまつり」が開かれる。民家や商店、公共施設など72カ所に500体以上のひな人形が並び、町内を華やかな雰囲気に包み込む。3月3日まで。
高浜まちづくりネットワークなどでつくる「若狭たかはまひなまつりの会」が主催。高浜地区の中町通りや本町通りを中心に、ほかの地区でも一部展示する。
関連イベントとして、2月26日には飲食・雑貨販売や福井の伝統工芸アイドル「さくらいと」らによる音楽イベントを楽しめる「箱庭市」、女びなや男びななどに仮装した町民らが町内を巡る「ひなまつり行列」がある。
期間中はスタンプラリーを実施しており、4カ所のチェックポイントを回ると抽選で町名産品などが当たる。18、19、25、26日には低速電気自動車「グリーンスローモビリティ」でチェックポイントを回ることができる。要予約。問い合わせは同ネットワーク=電話0770(72)2740。
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