1年間埋めた木の実の芽立ち具合でその年の農産物の豊凶を占う「オイケモノ神事」が6日、小浜市加茂の加茂神社で営まれた。氏子が昨年埋めた小箱からドングリやカヤの実などを取り出し、しっかりと芽が出たり根が伸びたりしていることを確認。代表区長が「本年も豊作間違いなし」と宣言した。
毎年旧暦の1月16日に執り行われる。起源は8世紀初頭にさかのぼるとされ、国選択無形民俗文化財に選定されている。
氏子20人ほどが社務所に集まり開始。氏子総代長ら3人が、今年埋める縦10センチ、横20センチ、高さ10センチの新しい木箱の前に座り、トコロイモ、クリ、シイの実、ギンナン、ドングリ、カヤの実、干し柿の7種類の「物実」と、「牛の舌」と呼ばれる平たい餅を入れた。
氏子たちはそれぞれ箱やお供え物を持ち行列となり、まず舞堂に移動。神事当番の山本桔平ちゃんが烏帽子(えぼし)姿で御幣を振り魔を払うと、上宮へ向かった。道中は大蛇の目に見立てた的に向かって矢を放ったり、大蛇を追い払うため「うおお」と大声で叫んだりしながら進んだ。
上宮ではお供え物をして全員で参拝。氏子総代長らが「百万石、百万石」と声を上げながら小さい餅をまいたあと、近くのご神木の根元から昨年埋めた木箱を掘り出し、新しい箱を埋めた。
社務所に戻ると、代表区長の前野勝哉さんが箱を開け、物実を丁寧に取り出した。芽が出たカヤの実を見ると、氏子たちは「珍しい」と口をそろえ表情を緩めた。トコロイモやドングリからは10センチほどの根が伸びており、前野さんが「豪雪と風雨にさらされながらも加茂の地にしっかりと根付き、新しい芽が出ております。判定は本年も豊作間違いなしでございます。誠にありがとうございます」と占い口上を述べると、拍手が起こった。