手元に来た大玉に額を近づける住民=18日、小浜市西小川の常福寺観音堂

 大きな数珠を手繰り無病息災や家内安全を願う伝統行事「数珠繰り」が1月18日、福井県小浜市西小川の常福寺観音堂であった。集まった住民約20人が、お堂の中央にある仏像を囲むようにして座り、祈りを込めながら数珠を100周回させた。

 新年最初の観世音菩薩(ぼさつ)の縁日である1月18日の「初観音」に毎年行われている。起源は定かでないが少なくとも江戸時代から続くとみられ、数珠には「享保三(1718年)」と刻まれたものがある。

 数珠は直径約2センチの玉が約2千個連なり、全長20メートルほど。直径約4センチの中玉と同約7センチの大玉が1個ずつあり、手元に回ってくると頭を下げ額を近づける習わしになっている。

 住民は、お堂内に安置されている十一面観世音菩薩像の周りに座り、読経やかねの音が響く中、数珠を素早く回していった。100周回すると御利益があるとされ、約1時間かけて達成。回し続けるうちに体が温まり、途中で上着を脱ぐ人もいた。

 以前は県外から帰省した若者の参加も多かったが、新型コロナウイルス禍でここ数年は住民のみという。住民の女性は「子ども3人が県外で暮らしているので、今年も無事健康で、早くコロナが収束するように」と願った。夫で西小川区長の男性は「1年が始まった、という感じがする。長く続く行事なので、これからも守っていきたい」と話した。

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