マヤ文明の歴史を刻むメキシコの年縞(ねんこう)について、昨年6月に行った掘削の舞台裏を紹介するミニ展示「速報―マヤの年縞をめぐる冒険」が、福井県若狭町の県年縞博物館で開かれている。メインとなる約100枚の写真は、現地で資機材を調達する様子や無事に掘削を終え緊張がほぐれた研究員の表情など、現場の雰囲気が伝わるものばかり。掘削方法などを紹介する映像もある。2月27日まで。
マヤ文明はメキシコなどで紀元前1000年ごろに始まり、1697年まで続いたとされる。複数の大都市、小都市が各地で盛衰を繰り返し、正確な暦を作るなど高度な文明を築いた。一方、文明が滅びた原因は気候変動や戦争、環境破壊などとされるが、よく分かっていないという。
マヤの年縞で「年代のものさし」ができれば遺跡成立と極端(異常)気象の年代が明確になり、原因解明につながる。そこで、立命館大古気候学研究センターの副センター長で、同大准教授の北場育子さんをリーダーとしたプロジェクトチームは2020年3月から本格的な調査を始めた。2度目となる掘削の様子をプロカメラマンの写真と動画で紹介。普段見られない裏側を紹介することで、年縞に親しんでもらう狙い。
会場には、メキシコの都市部で約3日かけて資機材を調達する写真などがずらり。掘削に参加した同館の学芸員によると、約1カ月間滞在したうち約2週間を設営などの準備に要したという。掘削のため湖に浮かべるやぐらの鉄骨を溶接する写真には、偶然溶接工だった地主の1人が写る。地元の子どもが楽しそうに手伝う写真もあり、地域ぐるみの和気あいあいとした雰囲気が伝わる。
マヤの約4メートルの年縞を20本ほど採取する場面や、お目当ての年縞を前に笑みがこぼれる研究員を捉えた写真もある。このほか、掘削に用いた手法の解説を交えた約12分の動画もある。14日午後2時からは、北場さんによるガイドツアーがある。要予約。問い合わせは同館=電話0770(45)0456。
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