• 寒さをものともせず力を振り絞って綱をちぎる男衆(川上桂撮影)
  • 雄たけびを上げ運河にダイブする男衆=15日、美浜町日向(川上桂撮影)
  • 水中綱引きを終え、稲荷神社に再度豊漁を祈願する男衆(川上桂撮影)
  • 「ヨイヤッサーヨイヤッサ」「ヤーサのドッコイ」と声を合わせて綱を編む男衆(北川龍次撮影)
寒さをものともせず力を振り絞って綱をちぎる男衆(川上桂撮影)

 福井県美浜町日向で1月15日、2020年以来となる「水中綱引き」が行われた。寒中の運河に飛び込み綱が切れるまで引き合う行事で、全国的にも珍しいという。「いくぞ」「よっしゃあ」―。1年の海上安全と豊漁を願い体を張る男衆。若狭湾がたぎる冬の漁師町は、3年ぶりに熱気に包まれた。

 約400年続くという国選択無形民俗文化財。「わかさ美浜町誌」などによると由来は諸説あり、「運河の開削とその後の豊漁を祝った」「災いをもたらす大蛇を倒し、その様子を再現した」といわれる。近隣自治体に同様の行事はなく、佐賀県で夏の盆行事に海中綱引きが残るのみという。

 午前6時から近くの稲荷神社で綱が編まれた。独特の掛け声で作業し約3時間かけて完成。運河に架かる日向橋で伊勢音頭を歌い、綱を放り込んだ。若狭町の神社で海上安全と豊漁を願いお神酒をあおると、午後2時過ぎに水中へ。最後は稲荷神社で再び祈願した。

 還暦を迎えた渡辺さんは「2年間やってなかったからつらかった」と寒さに身を震わせたが「無事できて良かった」。男衆は各家に戻り、達成感と湯船に“浸った”。

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