趣味の盆栽を福井県敦賀市役所のロビーに19年にわたり飾り続けてきた高崎三蔵さんが月内で展示を取りやめることになった。最後の展示となるのは新年を彩る「松竹梅」。1月16日ごろから梅の花が見ごろを迎えそうだという。高崎さんは「梅が満開となって、散ろうとするときが“私の千秋楽”。見た人に和んでもらえたらうれしい」と話している。
愛好家でつくる敦賀盆栽会会長の高崎さんは市役所が旧庁舎だった2004年、市の職員から依頼され盆栽を展示するようになった。会員が交代で作品を並べていたが入れ替えや水やりなど負担が大きく、次第に高崎さんだけで展示を続けることになった。
「盆栽を見て、心の癒やしになり、和んでもらえるのならば」と毎週月曜朝に市役所に運び、金曜夕方に持ち帰ることを継続してきた。四季折々の盆栽はいつしか市役所ロビーに欠かせないものとなり、22年の新庁舎供用開始以降も続けてきた。
用事や体調不良で展示を休むと心配する電話がかかってきたり、受け付けに問い合わせがあったりするほど。「問い合わせが自分にとっては叱咤(しった)激励になった。みんなが見てくれているのだと感じて続けてこられた。知らないうちに19年たっていた」と振り返る。
近年は、冬場の雪の日を中心に車の運転に不安を感じるようになり「体力の限界」と高崎さん。交通指導員や市立敦賀病院の交通整理員として50年以上、交通安全の推進に関わってきたことから「事故を起こしては絶対にいけない」と免許を返納する意向のため、盆栽展示をやめる決断に至った。
渕上隆信市長は「花の一番いいタイミングで展示してくれ、勇気づけられたり、慰められたりしてきた。ありがたかった」と感謝。高崎さんは「人生の一ページが終わるようでさみしい気持ちもある。多くの人に見てもらえて自分も元気をもらえました」と晴れやかに話した。
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