福井県小浜市北塩屋の県指定有形文化財「旧古河屋別邸(通称・護松園(ごしょうえん))」を活用した「GOSHOEN」は、土蔵と庭園の改修が完了し1月9日、全面オープンを迎えた。蔵は若狭塗の歴史や若狭塗箸ができるまでの工程を紹介するミュージアムと貸し出し可能なギャラリースペースへ生まれ変わり、庭園はイベントでの利用も見据え整備。幅広い世代の地域住民が集う憩いの場を目指す。
護松園は、江戸時代に現在の小浜市を拠点に活躍した北前船の商人、古河屋の5代目が、藩主などをもてなすため1815年に建てた。所有する同市北塩屋の若狭塗箸製造販売「マツ勘」が、地域に開かれた場所にしようと2020年、改修に着手。数寄屋造りの建物部分はカフェや若狭塗箸販売スペースなどを備えて21年5月にオープンさせ、続いて土蔵と庭園の改修を進めていた。
土蔵は2階建てで1階が51平方メートル、2階が39平方メートル。「みんなのミュージアム」とし、1階には江戸時代から現代のものまで、若狭塗の箱や皿などの貴重な実物約20点を展示。古河屋と若狭塗の歴史をパネルで解説しており、かつては200種類以上が使われていた若狭塗の模様の一部を紹介するコーナーもある。2階は机と椅子のみのシンプルな空間で、今後料金体系を決め、展示やワークショップなどに貸し出す。
蓬莱(ほうらい)式の庭園は、もともとあったマツや石をそのまま生かしつつ手入れしやすいよう整えた。建物から観賞するのが基本だが、イベントでの利用も考えているという。同社の松本啓典社長は「小浜や伝統産業が発展してきた歴史や文化を若い世代に伝えたい。敷居が高いものと思わず興味を持ってもらい、自分たちの住む街の未来を考えるきっかけになる場所にしたい」と話した。
GOSHOENの営業時間は土蔵を含め午前10時~午後5時。水・木曜定休。問い合わせは電話0770(64)5403。
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