
水上さんや若州一滴文庫の開設に携わった人の思いなどを紹介している特別展=おおい町岡田の同文庫
水上勉さんが文庫の設立目的などを記した「設立趣意」書の一部。構想段階では「水上かん文庫」とされていた(同文庫提供)
水上さんや若州一滴文庫の開設に携わった人の思いなどを紹介している特別展=おおい町岡田の同文庫
福井県おおい町岡田の若州一滴文庫で開館40年特別展「40年の軌跡」が開かれている。故郷に同文庫を建てた同町出身の直木賞作家、水上勉さん(1919~2004年)の思いを初展示となる当時の設立趣意書など、資料24点を並べ解説。パネルなどで共に設立に当たった周囲の人の熱意にも焦点を当てている。来年2月9日まで。
水上さんは1980年代初めから同文庫設立の構想を思い描いていた。初展示した「設立趣意」書は原稿用紙2枚。80年2月に亡くなった母・かんさんへの鎮魂を込めて名を冠した「水上かん文庫」とされており、施設名は構想段階から変遷したことが分かる。また「本文庫は町民の文化意識向上に役立てたい」との思いがつづられ、水上さんの小説の挿絵などを手掛けた同町出身の画家、渡辺淳(すなお)さん(1931~2017年)ら5人の運営委員の名も記されている。
同文庫図書館入り口には、開館当日に水上さんが記したメッセージ「佐分利川べの子らに」が掲げられている。開館日前に原稿用紙に書いた二つの草案を展示しており、推敲(すいこう)の跡が分かる。
文庫設立に当たった水上さんの知人・故西村心一さんが同文庫発刊の冊子「一滴」にしたためた文章をタペストリーで紹介。設立の構想段階で水上さんに対し町外から誘致の声があったが、西村さんら地元民がおおい町への建設を懇願した経緯を振り返っている。
このほか、水上さんを撮り続けた写真家水谷内健次さんが、同文庫の建築中の様子を収めた写真をスライドで紹介している。
一般300円。高校生以下は無料。午前9時~午後5時。火曜休館。
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