福井県高浜町の青葉山の麓で、韓国生まれのアーティスト、キム・ミョンヒさんは、伝統的な日本の和紙、現代アート、そして平和へのメッセージを融合させた、ユニークな体験を生み出しています。
キムさんが訪れる人にピースマスク体験を紹介するゲストハウス・イマデラ
この体験では、自分の顔の輪郭に沿って丁寧に形作られた紙のマスクを作ります。訪れる人は、20年以上にわたり異なる文化を持つ人々をつないできたアートプロジェクトの一員となります。

ピースマスク体験の魅力の一つは、そのロケーションにもあります。キムさんの住まいは、福井を象徴する青葉山の麓に佇み、高浜の静かな田園風景に囲まれています。日本の大都市の賑やかな街並みや混雑した観光地からも離れた、穏やかな環境です。
ここでは、静かな風景そのものが、訪れる人に立ち止まり、日常の喧騒から少し離れ、見慣れた顔――自分自身の顔――をまったく違った視点から見つめるきっかけを与えてくれます。
体験でゲストが制作できる紙のマスクの一例
自分の顔から始まる体験
キムさんが手漉きの越前和紙を使って顔の周りにマスクを形作っている間、体験者は目を閉じ、じっとしているよう促されます。ゆっくりと身を委ねて待つうちに、外の世界への意識が少しずつ薄れていきます。最初は少し不思議に感じるかもしれないこのアート体験は、立ち止まって自分自身と向き合い、鏡や写真では見ることのできない形で、自分の顔と出会う時間へと変わっていきます。
私たちは、鏡や写真、スマートフォンの画面を通して、自分の顔を見ることに慣れています。しかし、自分の顔が実際のアート作品として形になるという体験は、それとはまったく異なるものです。

マスクを外したとき、和紙に写し取られた自分の顔を目にすると、思いがけず心を動かされるかもしれません。見慣れた顔の特徴が、見慣れない形で現れることで、普段は当たり前だと思っているものを、違った角度から見つめるきっかけになります。

このように、一人ひとりがマスクを作る個人的な体験は、ピースマスク・プロジェクトのより大きな理念へとつながっていきます。一つの顔から始まり、そこから多くの人々に共通する人間性が少しずつ浮かび上がってくるのです。
ピースマスクに込められた物語

この体験の中心にいるのが、30年以上にわたって日本で暮らし、活動してきた韓国生まれのアーティスト、キム・ミョンヒさんです。ソウルで生まれたキムさんは、その後日本へ渡り、現在は福井県高浜町を拠点に活動しています。異なる文化の間で暮らしてきた経験は、彼女の芸術活動にも影響を与え、さまざまな背景を持つ人々が出会い、交流する機会をつくりたいという思いにもつながっています。
ピースマスク・プロジェクトは、2000年に始まった「日韓ライフマスクプロジェクト」を起点としています。2000年から2002年にかけて行われ、1,580枚のマスクが制作されました。その後20年以上にわたり、韓国、アメリカ、インド、スペイン、フィンランド、カンボジアなど、さまざまな国や地域でワークショップや展示を行いながら活動を広げてきました。
また、このプロジェクトでは、平和や歴史、和解といったテーマについても取り組んできました。2014年から2015年にかけて行われた「ピースマスク東アジアプロジェクト」では、日本、中国、韓国の人々とともに活動。2018年には、カンボジアのNGO「Women Peace Makers」と協力し、現地でワークショップを開催しました。
さらに2015年から2017年にかけては、広島と長崎で、第一世代から第四世代までの被爆者とその子孫のマスクを制作。これらの作品は、2019年にタイ・バンコクの国連会議センターで展示されました。

キムさんによる京都でのピースマスク展示会の一例
キムさんにとって、人の顔はキャンバスであると同時に、人々が共有するものを見つめるための手がかりでもあります。ピースマスク・プロジェクト(PMP)を通して、現代アートと日本の伝統的な和紙、そして平和へのメッセージを融合させています。国籍や言語、文化的背景から始めるのではなく、このプロジェクトは、誰もが持つ普遍的なもの――「人の顔」――から始まります。

伝統的な和紙と現代アート

マスクには手漉きの越前和紙が使われており、この体験に日本ならではの要素を加えています。和紙づくりの長い歴史を持つ福井で、地域に受け継がれてきた伝統工芸と、キムさんの現代アートがこの素材を通してつながっています。
アーティストのもとに滞在する

この地域でもう少しゆっくり過ごしたい人には、ミョンヒさんが青葉山の麓にある小さな農村集落・今寺で営む自宅兼ゲストハウス「Guest House Imadera」での滞在もおすすめです。

趣のある熊野神社のすぐそば、青葉山の登山道入口に位置するこの家は、広々とした花々に彩られた庭に囲まれ、庭の向こうには山々を望むことができます。庭は高浜町の毎年恒例の「オープンガーデン」にも参加しており、これまで多くの人々が四季折々の美しさを楽しんできました。

ゲストルームはキムさんの自宅の2階にあり、大きな窓から庭を眺めることができます。室内にはセミダブルベッド2台のほか、くつろげるスペース、デスク、専用のトイレ・洗面スペースがあります。ゲストは1階のリビングルーム、ダイニングルーム、キッチン、広々とした縁側も利用できます。

ゲストハウス・イマデラのリビングルーム

キムさん自身が暮らしている家だからこそ、ゲストハウス・イマデラでの滞在は、単に泊まるだけの場所ではありません。アーティストであるキムさんの暮らしや創作の環境に触れることができるのも、この宿ならではの魅力です。キムさんは毎朝朝食を用意してくれるほか、周辺を訪れる際のアドバイスやおすすめの場所も教えてくれます。

キムさんの自宅の入口に佇む趣のある熊野神社
山と海をめぐる

ゲストハウス・イマデラは、高浜の豊かな自然を楽しむのにも便利な場所にあります。
雄大な青葉山

青葉山の山頂に到着したハイカー
青葉山への登山道は家の近くから始まり、山頂までは、歩くペースにもよりますが、およそ1〜2時間かかります。また、西高野観音霊場の第29番札所である松尾寺へも、徒歩約30分で行くことができます。

さらに海側へ足を延ばせば、高浜の澄んだ海で、海水浴やSUP、シュノーケリング、ダイビング、カヤック、釣りなど、さまざまなアクティビティを楽しむことができます。カフェやショップ、高浜の中心部へも車で気軽にアクセスできる一方、今寺には今も小さな山村ならではの雰囲気が残っています。
今寺の空撮写真
ピースマスク体験情報
体験のお申し込みは、下記のメールアドレスまでご連絡ください
peacemask3@gmail.com
〇体験料金
ピースマスク体験(アーティストとの完全プライベート・1対1):30,000円
〇体験時間
3時間程度
〇開催場所
ゲストハウス・イマデラ(福井県高浜町今寺)
体験内容
ピースマスクのセッションは、約3時間のゆったりとした瞑想的な体験です。アーティストが丁寧に、あなたの顔の石膏型を取ります。そしてその型をもとに、福井・越前が誇る伝統工芸、越前和紙の最上質の手漉き和紙を使ってピースマスクが仕上げられます。お持ち帰りいただくのは、あなただけのオリジナルのピースマスク、石膏型、そして自らマスクを作り続けるための技術です。これは単なるクラフト体験ではありません。自分自身と静かに向き合うための、個人的な retreat(静養)のひとときです。生涯をかけて「平和は一人ひとりから始まる」という信念を体現してきたアーティストのもとで過ごす、かけがえのない時間です。
ゲストハウス・イマデラ
ゲストハウス・イマデラ1泊(ピースマスク体験・朝食付き):50,000円
敦賀・若狭エリア魅力発信ライター ブライアン・キース・イーストレイク
インスタグラムでも日々発信をしています。
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インスタグラム:https://www.instagram.com/wakasabayexplorer/




































