福井県美浜町内に伝わる北前船の歴史を紹介する企画展「美浜に残る北前船の波跡」が、町歴史文化館で開かれている。船主が書き残した自伝や船絵馬など15点ほどを並べている。5月12日まで。
北前船は江戸、明治時代に日本海を航行し、各地で物資を売買して収益をあげた商船で、美浜でも盛んに往来した。町は文化庁の日本遺産「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」への追加認定を目指しており、3月の北陸新幹線敦賀開業も見据え、歴史を広く周知しようと開いた。
美浜の主要な船主集落の一つだった久々子に生まれた川渡甚太夫は金融業やウナギの販売に携わった後、40歳で船を購入し北前船主となった。自身の生涯を記した「川渡甚太夫一代記」では、交易の内容などを詳しく書き残している。同じく久々子の北前船主だった中西庄吉の子孫が所蔵する3艘(そう)の船が描かれた船絵馬や、船員の名簿、日本近海の海の深さを示す地図なども展示している。
金毘羅神社(丹生)に奉納された船絵馬3点もあり、うち1点は県内最古級という。学芸員は「船の姿と船乗りの生きざまの両方を楽しんでほしい」と話していた。
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