「敦賀きゅうり」の復活へ大規模ハウス栽培を始めた田邉さん(左)=8日、敦賀市山泉

 福井県敦賀市山泉に嶺南で先駆けとなるキュウリ大規模栽培ハウスが完成し6月8日、竣工(しゅんこう)式が行われた。特産「敦賀きゅうり」の復活に取り組んできた地元生産者が、ICT(情報通信技術)を活用した栽培で出荷拡大を目指す。

 JA福井県が国や県、市の支援を受け1億7600万円をかけて建設した。ハウスは12棟あり、延べ床面積3500平方メートル、栽培面積3100平方メートル。キュウリは養液栽培で、温度や湿度、日照量、二酸化炭素濃度といった環境は、ミスト噴霧や遮光カーテンの開閉、二酸化炭素供給など自動制御装置で調節する。年2回作付けし、冬季の1カ月を除く周年栽培により、高品質なキュウリの生産と安定的な出荷が見込まれる。

 JA福井県からハウスを借り受け、栽培を行うのは8年ほど前から特産「敦賀きゅうり」の復活に取り組んできた田邉和彦さん。昨年11月に「SkyFarm敦賀」を設立し、準備を進めてきた。4月に定植し、5月からは収穫・出荷を開始。1年目の収量は90トン、2年目以降は100~110トンを目指す。

 竣工式でJA福井県の冨田勇一組合長は「年間を通じて安定的な生産が見込まれ、県内の消費拡大に向けた販売戦略を進めることができる。スピード感ある出荷、販売で産地再生に努めたい」とあいさつ。米澤光治市長も「ICTを利用した大規模ハウスが市内のハウス栽培のモデルになることを期待している」と述べた。

 田邉さんは「敦賀をキュウリの産地として再生、復活させることを目標に頑張っていきたい。農業収入で生活できるモデルをつくり、農業に従事する人を増やしていけたら」と話していた。

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