漫才コンクール「M-1グランプリ」の1回戦を突破した渡辺英朗若狭町長(左)と飯めしあがれこにおさん=21日、町役場

 福井県三方上中郡若狭町の渡辺英朗町長が日本一の漫才師を決める「M―1グランプリ」に挑戦し、9月14日に大阪市で行われた1回戦を突破した。同町に移住した「福井県住みます芸人」の飯めしあがれこにおさんとコンビを組み、同町のPRと自虐を織り交ぜたネタを披露。「めっちゃウケてた」という応援した町民。ボケ担当の渡辺町長は「全国に町をPRしたい。優勝を目指します」と芸人さながらに冗談を飛ばした。

 「政治生命を懸けて頑張ります」「いやそんなにプレッシャー掛けないでくださいよ」。1回戦のステージで審査員や客の心をつかむ2人。こにおさんが福井梅や三方五湖をPRすると「いやウメといえば和歌山や」「湖といえば琵琶湖やろ」と渡辺町長は自虐ネタを放り込んだ。2分間の漫才で「こにおと若狭町長」は会場を沸かした。

 1回戦は8月から全国各地で行われている。2人が出た日は159組が挑み、通過したのはわずか15組だった。

 ネタ作りはこにおさんが担当した。渡辺町長が公務で忙しく、ネタ合わせができたのは2回だけ。それでも、渡辺町長はボケを修正、本番直前まで壁に向かって練習して精度を高めた。ステージ後、渡辺町長は「人前で笑いを取るのは初めてで緊張した」というが、こにおさんは「直前まで小ボケをかましていた」と舌を巻いた。まさに芸人顔負けだったという。

 「元々人を楽しませるのが好き」という渡辺町長。昨年11月に移住してきたこにおさんに、一緒にお笑いをやりたいと誘われた。「地域に溶け込み県内外で若狭町をPRしてくれている。お返しの意味も込めて一緒に魅力を伝えよう」と参加を決めた。

 1回戦突破の反響は大きく、こにおさんは「地域住民から祝福されることが増えた。イベントでの反応もいい」と笑顔。「1回戦で落ちていたら追い出されてたかも」と冗談ぽく話す。

 2回戦は想定していなかったため、急いでネタ作りに励んでいる。2人は「面白いネタで注目され町のPRにつなげたい。明るい町にしたい」と10月上旬の2回戦に意欲を見せた。

(※福井新聞社提供。無断転載を禁止します。記事に関するお問い合わせは福井新聞社へ。)