キックオフイベントで鋸谷所長(左)からシソを受け取る大黒会長=30日、高浜町中山の青葉山ハーバルビレッジ

 福井県大飯郡高浜町は7月から、町で栽培した薬草のシソをブランド養殖魚「若狭まはた」の飼料として活用する新事業を始める。県立大やふくい水産振興センター、町内養殖事業者らと連携し、養殖魚の品質向上や新商品の開発に取り組む。6月30日には、プロジェクト開始に向けたキックオフイベントが行われた。

 シソは中国原産の一年草で、強い抗菌作用がある。町では昨年、薬草産地化事業の一環として同町東三松でシソの試験栽培に成功。同秋から生薬原料として出荷が始まっている。その際、茎の部分は硬く食べづらく捨てられていたが、有効活用できないか町が模索。若狭まはたへの飼料活用を企画した。

 「サスティナブルハーバルフィッシュプロジェクト」と名付けた事業は、2025年までの3カ年を予定している。本年度は、重さ約1キロのマハタ70匹に、シソの葉や茎の粉末を混ぜ合わせた飼料を与え7月から飼育実験を行う。県水産試験場(小浜市)の飼育水槽で40日間育て、県立大海洋生物資源学部がマハタの味や肉質、風味の変化などを調べ成分を分析する。

 来年度以降は、町内でのマハタの海面養殖のほか、マダイでもシソで飼育できないか実験する方針。25年には差別化されたマハタの新商品としての本格出荷を目指す。

 この日は、同町中山の青葉山ハーバルビレッジで町内の民宿、観光事業者などへの説明会が開かれ、シソを育てる任意団体「青葉山麓研究所」の鋸谷所長が、養殖を手掛ける漁協組合員を代表し高浜水産業振興協議会の大黒会長にシソを手渡した。

 町産業振興課の担当者は「高浜の養殖や薬草事業の周知、一次産業の活性化につなげていきたい」と話していた。

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