2020年に国際宇宙ステーションで宇宙飛行士の野口聡一さんが食べて話題となった、若狭高の「宇宙食サバ缶」の物語が児童書となり、6月30日に小学館から発売される。著者や編集者の県人3人の手で出版にこぎ着け、同校の14年間にわたる奮闘から「夢に挑み続ける素晴らしさ」を176ページに込めている。
今回の児童書は、「(宇宙食サバ缶が)どうしても書きたいテーマだった」という敦賀市の児童文学作家、別司さんが20年10月、小学館の編集者、田中さんに企画書を送ったことがきっかけ。田中さんはこれまでに、福井の恐竜をテーマにした絵本や児童書を手がけている。
別司さんは、開発に携わった歴代の若狭高の生徒や生徒を支え続けた小坂教諭、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の職員ら約30人を1年間かけて取材。あらゆる種類のサバ缶と食べ比べ、「若狭高産」のおいしさや工夫に理解を深めた。
小坂教諭が共著者となり、「サバ缶を宇宙に飛ばせるんちゃう?」という1人の生徒のつぶやきから、他の生徒らが本気になって開発をスタートさせ、宇宙で野口さんがサバ缶を味わうまでの曲折を描く。宇宙食にまつわるコラム5本を収録。サバ缶を含む宇宙日本食のメニュー一覧を写真入りで載せ、「宇宙食が丸ごと分かる」(田中さん)内容に仕上がった。
A5判巻頭カラー、税込み1650円。県内の主な書店で販売する。23日に別司さん、田中さん、小坂教諭の3人が県庁を訪れ、豊北欽一県教育長らに出版を報告した。小坂教諭は「失敗から学ぶ探究活動の面白さを感じてほしい」と話した。
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