沿道を埋める見物客を沸かせる集結した山車=15日、小浜市まちの駅前

 福井県小浜市内で営まれる若狭地方最大の秋祭り「放生祭(ほうぜまつり)」が、9月17、18日に3年ぶりに開催される。祭礼委員会が6月23日夜に総会を開き、決定した。例年は小浜地区の24区が半数ずつ隔年で出番を務めているが、今年は現時点で19区が出し物を披露する方針。新型コロナウイルス感染対策を徹底するため、巡行方法などの検討を進めている。

 放生祭は300年以上の歴史を持つ県指定民俗文化財で、同市男山の八幡神社の例大祭。約3万人の見物客が訪れる。新型コロナの影響で2020年、21年ともに出し物は中止され、神事のみ行われた。

 祭礼委では、3年ぶりの開催を祝い伝統を継承しようと、今年は全区出演を目指し協議してきた。各区の意向調査の結果、感染リスクの懸念などから5区が辞退を表明している。

 例年は山車、獅子、神楽、大太鼓の4種類の出し物や神輿(みこし)が各区本陣を巡行、同神社へ宮入りし、2日目にまちの駅に集結する。密集や密接を防ぐため、今年の巡行方法や全出し物が一堂に会しての披露については見直しを検討中で、具体的な内容が決まるのは7月下旬以降になる見込み。同委員会の医療関係者らでチームをつくり、検温や消毒など出し物の練習中や当日の感染対策ガイドラインを用意している。

 同神社の宮司は総会で「祭りには地域の連帯とか文化の継承とか、いろいろと意味がある。(コロナ禍の)沈滞をはね返すばねになる」とあいさつ。風呂繁明祭礼委員長は「『マスクでお祭り』というフレーズで、感染対策を順守しながら良いお祭りにしたい」と話した。

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