福井県三方上中郡若狭町の三方湖で江戸時代から続く伝統漁法を担う鳥浜漁協は6月25日、「わかさ鳥浜キャンプ場とれたんこ」を三方湖畔にオープンする。オプションで「たたき網漁」や「ウナギ筒漁」を見学できるほか、取れたての湖魚を堪能できる。同漁協は新事業で収入を増やすことで新たな担い手獲得のきっかけとし、伝統漁の存続に役立てたい考えだ。
キャンプ場は道の駅三方五湖の近くの町漁業体験施設に隣接する約900平方メートルで、湖沿いに照明や物置、シャワー室を設けた。サイトは6区画で、眼前に広がる三方湖を楽しむことができる。
オプションは季節ごとに異なる。4~11月はウナギ筒漁と、木の枝を束ねた柴に集まるテナガエビを取る「柴漬け漁」。12~3月はたたき網漁を間近に見学できる。取れたてのウナギやコイ、フナを食べることもできるという。
同漁協は30~80代の組合員28人が所属。主な収入は組合員の漁獲量に合わせた賦課金で、年間約300万円かかる放流用のウナギやフナ、コイなどの稚魚購入費に充てている。ただ、湖魚を食べる習慣が少なくなり、釣り客や漁師が減ったことで収入は減少。毎年、組合の貯金を切り崩しやりくりしているという。昨年度はわずかに黒字となったが「補助金に頼らず稚魚を放流するという目標にはほど遠い」と組合長は話す。
現状を打破しようと同組合員は2年前に協議を開始。伝統漁法や湖魚のPRにつながるキャンプ場を企画し、町などの補助を得て約800万円で整備した。
とれたんこは、地元漁師がよく使う方言で「(きょうは魚)取れたんか」の意味。組合長は「多くの人に湖魚のおいしさを伝え、親しめる場所にしたい」と意気込んでいた。
料金は1区画使用料5千円、入場料1人500円。オプションは別途料金がかかる。問い合わせは鳥浜漁協=電話0770(45)0005。
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