ギフトとして若狭塗箸をPRする動画とポスター=小浜市役所

 「特別な一膳をあなたへ」―。新型コロナウイルス下で観光やインバウンド需要が減少する中、福井県小浜市の重要な産業の一つである若狭塗箸を贈り物として定着させようと、同市がPR動画を制作した。研ぎ出すことで唯一無二の美しい模様が現れる特長や、職人が一本一本時間をかけて丁寧に製造する過程などを紹介し、大切な人へのギフトとしての魅力をアピールしている。

 市商工観光課が昨年制作し、動画サイトYouTubeの市公式チャンネルで4月から公開している。本編は9分で、ダイジェスト版(3分)と英語版も用意した。

 若狭塗箸は400年超の歴史を誇る。アワビの貝殻や卵殻を埋め込みながら漆を塗り重ね、砥石(といし)で研ぎ出すと、独特のきらめく「海底模様」が浮かび上がる。

 動画では、市内の工房の職人が手際良く木材に漆を塗り、出来上がりを想像しながら1本ずつ模様をつける細かい作業の様子を見ることができる。赤や黄色など2色以上の漆を塗り重ねて華やかさを演出したり、金箔を巻いて輝きを添えたりする過程も紹介。職人の思いが込められた特別感を打ち出している。

 観光施設や土産物店などで放映の希望があれば、動画データを提供する。合わせて制作した販促用ポスターやチラシも配布する。同課の担当者は「市民の皆さんにも、SNS(交流サイト)で積極的に発信し広げてほしい。多くの人に興味を持ってもらい、職人の後継者問題解消にもつながれば」と話している。

 問い合わせは同課=電話0770(53)9705。

(※福井新聞社提供。無断転載を禁止します。記事に関するお問い合わせは福井新聞社へ。)