• 養殖6季目を迎えた「ふくいサーモン」。出荷量が年々増えている=8日、小浜市宇久沖合
  • 氷締めされた後に血抜きされるふくいサーモン
  • 養殖いけすから水揚げされるふくいサーモン
養殖6季目を迎えた「ふくいサーモン」。出荷量が年々増えている=8日、小浜市宇久沖合

 福井県のおおい町や小浜市など嶺南を中心に養殖されている福井県産トラウトサーモン「ふくいサーモン」が、6季目の出荷を迎えた。事業者がノウハウを培い養殖技術が向上。生存率がアップし、出荷量は毎年着実に増えている。

 ■3キロ超え次々

 「ここまで大きく育つとは」。8日に今季初水揚げを迎えた小浜市の宇久漁港で、関係者は喜びの声を上げた。宇久沖合で養殖に取り組む「市トラウトサーモン養殖振興協業体」がこの日に出荷したのは約400匹、1匹当たりの重さは平均2・8キロ。前季の県内平均2・4キロを大きく上回り、3キロ超えの大物が次々と水揚げされた。

 養殖は海水温が低くなる12月に始まる。養殖に携わる「宇久定置網」の浦谷俊晴社長(52)は「海水温がなかなか下がってくれないシーズンもあるが、みんなも育て方が分かってきている。今季は稚魚の段階から大きかったのも良かった」と手応えを語る。

 ■ノウハウ蓄積

 ふくいサーモンは2015年冬から養殖が始まり、現在はおおい町、美浜町、小浜市、福井市で取り組まれている。大野市などの養魚場で淡水で育てられた稚魚を、12月から約半年掛けて海で養殖し、翌年4、5月に水揚げする。県が事業者に対し、稚魚生産施設や養殖施設整備費を支援している。

 事業者は稚魚の段階から大型化する技術を追求。当初は稚魚1匹約300グラムだったが、現在は約500グラムになり、出荷時のサイズアップにつながった。海水に慣れさせる「馴致(じゅんち)」にも時間をかけて取り組むなどノウハウが蓄積されてきた。

 そのかいあって、本格養殖が始まった2季目は生存率50%だったが、5季目は83%にまでアップし、出荷量は100トンから140トンに増えた。今季は生存率84%、出荷量158トンを見込む。

 ■「福井ブランド前面」

 県は当初、出荷量を400トンに引き上げ、生産量日本一を目指すとしていた。しかし現在の施設規模や供給体制では、稚魚確保に限界がある。6季目からは、新たに勝山市の養魚場で育てられた稚魚が加わるなど、増産に向けた取り組みが進んでいる。

 県内では学校給食で提供されているほか、小浜市はふくいサーモンを含むブランド魚のすしをPR。おおい町の大島漁協は「利益を確保しつつ、幅広い世代に親しまれている。昨年は在庫がなくなるほどの売れ行きだった」。ふくいサーモンユッケ丼など、新商品の開発にも意欲的だ。

 一方で全国での認知度はまだまだ。県水産課の石本健治参事は「越前がに、若狭ふぐをはじめ福井の魚、海産物は全国でも一定のブランド力がある。福井ブランドを前面に出してPRしたい」とふくいサーモンの需要増、稚魚増産を後押していく考えだ。

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