• 多くの観光客や地元住民でにぎわう「熊川宿」=18日、若狭町熊川
  • 多くの観光客や地元住民でにぎわう「熊川宿」=18日、若狭町熊川
  • 若者の出店が相次ぐ熊川宿。休日を中心に多くの観光客が訪れている=若狭町熊川
多くの観光客や地元住民でにぎわう「熊川宿」=18日、若狭町熊川

 若狭と京都をつないで栄えた宿場町、福井県若狭町の熊川宿で近年、若者の新規出店が相次いでいる。今年は忍者道場などが既にオープンし、計5店舗が増える予定だ。過疎化や高齢化対策として地元住民らは移住・定住を見据えたにぎわい創出を図り、持続可能な熊川宿を目指す考えだ。

 ■起爆剤

 熊川宿は、日本海側の魚介類などを京都方面に運ぶ鯖街道の宿場町として江戸時代から繁栄。1996年に国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に指定され、電線の地中化など景観の保全と整備が進められてきた。

 町政策推進課によると、2018年に施設開発などを手掛ける「デキタ」が東京から熊川に拠点を移し、宿内の古民家を改修したシェアオフィスの開設が、出店加速の端緒となったという。地元住民によると出店数は16年1軒、17年3軒だったが、18年には6軒。19年は3軒で、今年は飲食店やセレクトショップなど5店舗の出店となる見込み。多くは20~40代の起業で、空き家を改修して出店している。

 デキタの時岡壮太社長(40)は「町並みの保全や景観美化に長年取り組んできた熊川宿で、シェアオフィスやおしゃれなカフェのオープンが起爆剤となった。複数メディアに取り上げてもらい、口コミなどで若者を中心に興味を持ってもらえた」と分析する。

 今年1月の忍者道場、7月の給食カフェ「はな結」など、ユニークな出店も多い。はな結の石倉怜菜さん(29)は「熊川宿は高齢者が多いイメージだったが、楽しいことをやる若い人が多かった。思い切って開業できた」と話す。町の担当者は「若者が活躍できる雰囲気が醸成されてきている。さらなるにぎわい創出が期待できる」と手応えを感じている。

 ■移住促進へ

 開業店の多くは観光客を対象に営業展開し、かつての宿場町ににぎわいをもたらしている。ただ、若狭熊川宿まちづくり特別委員会の宮本哲男会長(67)は「コロナ禍で観光業がダメージを負ったこともあり、観光一本でいくのは不安」とも打ち明ける。

 同委員会は長年、空き家対策に取り組んでおり、今後は町やデキタなどとともに移住定住策の強化を図る。空き家の利活用などに向けた新団体設立を検討しているほか、移住・定住を促進するシェアハウス整備も視野に入れる。空き地の公園化や照明設備の更新などの整備を進める予定だ。

 宮本さんは「外の人を受け入れやすいという宿場町特有の気風もあり、ここまで出店が増えた。地元住民が目指す熊川宿は持続可能な“宿場町”。出店が増え雇用創出につながれば、移住もしやすくなる。熊川宿は発展していけるはず」と期待を込めていた。

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