「丹後くろまつ号」の運行イベントで演奏する敦賀高の生徒。イベントには、県嶺南振興局の政策トライアル枠予算70万円を活用した=2019年10月26日、JR敦賀駅

 3年後に迫る北陸新幹線敦賀開業とその後の新大阪延伸を見据え、福井県が力点を置く施策の一つが嶺南振興策。2019年度は「嶺南振興枠予算」として1億円を初めて設け、観光地の景観整備など27事業を打ち出し、新年度当初予算案ではこの予算を1億6千万円へと拡充させた。県は「さらに情報発信を強化し、嶺南での消費拡大につながる施策を打ち出したい」としている。

 嶺南振興策の強化は杉本達治知事の公約で、嶺南振興枠予算は県の19年度6月補正予算で創設した。観光地のハード整備に向けた8千万円と、県の他部局と同様に試行的なソフト事業に役立てる政策トライアル枠予算として2千万円を、嶺南振興局の局長権限で執行できるようにした。

 市町の意向も参考に、ハード事業はほぼ全額を投じて11事業を計画した。具体的には3月末までに、三方五湖を周遊するサイクリングコースについて路面表示を設ける事業に着手するほか、河内川ダムなどの案内標識の設置、敦賀港の照明設備の更新などを行う。

 同局は「安全安心の施策などに比べ、観光地の魅力アップや景観の向上といった後回しになることが多い事業を実現させ、地域のニーズに応える」とする。

 一方、トライアル枠予算では、JR小浜線で京都丹後鉄道のレストラン列車「丹後くろまつ号」を運行させるイベントでお出迎えセレモニーの開催経費などに充当。このほか県が特産化を目指しているマハタを使う新メニューの開発、関西圏での嶺南へのイメージ調査など計16事業1700万円分を活用した。

 新年度ではさらに充実した事業を予定する。枠予算を6千万円増やすほか、トライアルの成果を生かした4事業を計1867万円で本格実施に移す。JR小浜線の観光列車乗り入れを引き続き計画するほか、関西圏での調査で「嶺南のイメージが確立されていないという課題が見えた」(同局)ため、イメージビデオを作製する。

 費用対効果の検証などの課題はあるが、池田禎孝嶺南振興局長は「市町としっかり意思疎通し、さまざまな事業を駆け足ながらできてきたと思う。新年度はさらに事業をステップアップさせていきたい」と話している。

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