• 今宮区の山車の屋根に若狭桐油を塗る中嶌さん。白い桐がうっすらとあめ色になった=22日、小浜市鹿島
  • 半透明な黄色の若狭桐油=22日、小浜市鹿島
  • 今宮区の山車の屋根に若狭桐油を塗る中嶌さん(右)。うっすらとあめ色になった=22日、小浜市鹿島
  • 山車の屋根に若狭桐油を塗る村松さん=22日、小浜市鹿島
  • 山車の屋根に若狭桐油を塗る中嶌さん(手前)と村松さん=22日、小浜市鹿島
  • 山車の屋根に若狭桐油を塗る中嶌さん(手前)と村松さん=22日、小浜市鹿島
今宮区の山車の屋根に若狭桐油を塗る中嶌さん。白い桐がうっすらとあめ色になった=22日、小浜市鹿島

 かつて若狭で盛んに栽培されていたアブラギリから取る「若狭桐油(きりゆ)」が、福井県小浜市の秋祭り「放生祭(ほうぜまつり)」の山車の防水塗料として使われることになり、22日、同市内で塗布作業が行われた。若狭東高とともに、文化財の修復塗料として活用を探ってきた同市のNPO「若狭くらしに水舎」は、「使用実績としては今回が第1号。感慨深い」と、今後の販路開拓へ手応えを感じていた。

 桐油は、アブラギリという落葉高木の実を搾って抽出。明かりの燃料や雨具の防水塗料などに使われた。小浜藩主だった酒井家が江戸時代に栽培を奨励。「桐油は小浜第一の家業」と記述されるほどの産業となったが、石油に取って代わられた。

 アブラギリは生命力が強く、嶺南各地で野生化し群生しており、若狭東高とNPOが協力して活用を模索してきた。そんな時に放生祭に登場する小浜市今宮区の山車の修復話が持ち上がった。1928年に造られ老朽化が激しく、市が専門家に相談したところ「古来の若狭の産物を使うべきだ」と指摘を受け、若狭桐油を使うことになった。

 22日には業者による作業が、同市鹿島の倉庫で始まった。おととしに搾油された半透明な黄色の桐油にはけを浸し、桐をふき替えた山車の屋根に丁寧に塗りつけた。同市の建築業者の村松徹哉さん(33)は「いつも使っている塗料より滑らか」と話し、塗った部分はうっすらとあめ色になった。一週間なじませ、もう一度塗って2、3週間かけて油を固まらせて完了する。

 「若狭くらしに水舎」代表理事の中嶌阿児(あこ)さん(35)は「アブラギリは微毒性で食害に合わず、生命力も強くて増えやすい」と繁殖力の高さから植生への影響を危ぐ。それもあって修復塗料として採用された喜びはひとしおのよう。国産の桐油は出回っておらず、修復業者へのアンケートでは、国産桐油復活に好意的な声も寄せられているといい「今後も販路開拓に力を入れたい」と話した。

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