和歌や俳諧の発句、漢詩、絵画などの短冊や色紙が貼り込まれている「和歌俳諧貼り混ぜ屏風」=14日、敦賀市立博物館

 江戸時代の俳文学関係資料を展示した「近世俳諧関係資料展」が福井県敦賀市立博物館で開かれている。「和歌俳諧貼り混ぜ屏風(びょうぶ)」について、近世敦賀湊の文化の成熟を語る上で意義深い資料と紹介している。10月16日まで。

 和歌俳諧貼り混ぜ屏風は六曲一双で、一隻に32点ずつ和歌や俳諧の発句、漢詩、絵画などの短冊や色紙が貼り込まれている。現在は黒ずんでいるが、銀紙を全体に貼った台紙に色紙などを貼り混ぜてあるほか、短冊類の多くが金銀箔などで装飾されており、当初は華やかな装丁だったとうかがえる。

 高早恵美館長補佐によると、江戸時代の各時期の作品が集められているが、気比神宮の神職で、地誌「敦賀志」を表したことでも知られる石塚資元に宛てた歌人加茂季鷹からの書簡から、資元の存命中か没後まもない幕末に屏風としてまとめられたと推測される。「奉納」と記された作品もあることから気比神宮への奉納品が一定数見込まれるという。

 また、敦賀は俳聖松尾芭蕉が陸奥、北陸路を巡った「奥の細道」の旅の「杖(つえ)措きの地」として知られる。芭蕉が敦賀で滞在した宿に置いていったとされる「竹杖」(市指定文化財)や江戸時代中期に活躍した紀楳亭(きばいてい)が描いた芭蕉の肖像画「芭蕉翁肖像」(同)なども並ぶ。

 幕末に敦賀で非業の死を遂げた武田耕雲斎ら「水戸天狗(てんぐ)党」の志士をまつる松原神社で例年10月10日に行われる例祭に合わせ、陣羽織や短刀など耕雲斎の遺品展も同時開催している。

 入館料は一般300円、高校生以下無料。休館日は毎週月曜と10月11日。同10日は開館する。

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